不遇な駐在ポストの受け入れ方

人間は死に直面した時、①否定・孤立、②怒り、③取引、④抑鬱、⑤受容という5段階を経るという。

はて?この順序、なんか聞いたことある気がするぞ。自分は職業柄、沢山の日本人駐在員の方のお話を伺って来た。バングラデシュに駐在する方は自ら望んで駐在する方と、社命により駐在する方の2者がいる。前者はバングラデシュでのビジョンを明確に持って、日々悪戦苦闘しながらも生き生きと生活している人ばかりだ。だが後者はそのような人ばかりではない。

不遇な駐在をどう受け入れる?

そう言った駐在員は大体こんな流れでバングラデシュを受容していくような気がしている。

①駐在の命を受けた時(否定・孤立)
これは夢なのではないか?バングラデシュ?懲罰人事か?妻や子供はどう思うだろうか?やはり機嫌が良い時に相談するしかないな。でも今日は奥さんの機嫌がそこはかとなく悪いぞ、いったいいつになったら相談できるのだろうか?

②赴任したての頃(怒り)
時間は守らない、渋滞は酷い、一体何なんだ!スタッフは適当、官僚どものハラスメントに邪魔されて仕事は一向に進まない。本社側は自分がやらないもんだからと、外様で好き勝手言いやがって!!お前が来てやってみろ(OKY)!!!!

③赴任して半年(取引)
もうダメだ、こんな状況が続くばかりじゃ耐えられない。自分はバングラデシュに向いていないのかもしれない。相談したいが、コンプラもあるし、ペラペラ友達にも言えない。娯楽もほとんどない。本社に言って日本に早く返してもらおうか、、、

④赴任してから1年(抑鬱)
何をどうしてもうまくいかないが、うまくいかないことに慣れて来た。本社から怒られるのにも慣れて来た。なんとか踏ん張れる気がするが、なぜか毎日に力が入らないのは何でだろう、、、

⑤赴任してから3年(受容)
やっと進めるコツがわかって来た。充実感もでてきた。日本に休暇で帰っても、ダッカの空港に着くと安心している自分がいる。日本に帰任するに越したことはないが、もう少しバングラデシュに駐在していても良いかもな。

受容のその先

会社の命を受けた駐在員は多くが3年前後の任期であり、受容を経験して帰国する方が多い気がする。心底嫌いになって帰任する人はそうそういないのではないか、と言うのが自分の見解だ。ただ時にこう言った駐在員の方の中には、倍の6年近く、またはそれ以上長い期間に渡ってバングラデシュに駐在している方がいる。そう言った方々はもう一段階上の視点でバングラデシュを見ている気がする。

⑥赴任してから6年以上(超越)
仕事で困ることは滅多にない。ハラスメントにはイライラするが相場もわかって来た。スタッフは大事な家族だ。バングラデシュを終の住処にするつもりは毛頭ないが、任期満了までスタッフを日本流かつ自分流に、大切に育てていこう。

すごく興味深いのは、こう言った境地まで行けるのはバングラデシュが嫌いな人に限られると言う点だ。もちろんバングラデシュが大好きでバングラデシュに骨を埋める覚悟でやっている方々もいる。そう言った方々が悪い、と言うつもりは全くないが、バングラデシュが好き(認めてしまっている)という点は超越者との大きな差である。
超越者達はバングラデシュが正しいとは思っていない。思っていないからこそ、日本流や自分の世界をスタッフに押し付ける。押し付けられたスタッフは合わなければやめていくのかもしれないが、定着すれば心地よく感じるのだろう。実際ジョブホッピングが多く、離職率が高いと言われているバングラデシュだが、こういった超越者達が長年経営する工場は離職率が異常に低い傾向がある。

嫌いをパワーにしてほしい!

「好き」の反対は「嫌い」でなく、「無関心」だというのはよく言われる。嫌われるのは辛いけれども、自分のことをなんとも思っていない人よりは自分のことを考えてくれているという趣旨だ。さらに踏み込んで、盲目に好きだ好きだ言っている人間よりも、嫌いな人間の方がその対象を思慮深く観察している、という見方もある。好きこそものの上手なれ、という言葉があるが、嫌いというパワーも根気強くプラスに転換すれば、物事を上手く動かす力になるということだ。

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