イスラムと旧約聖書と犠牲祭

『犠牲祭』というイスラム教行事を知っていますか?

日本に滞在しながら犠牲祭を語るのはどうかと思うところもありますが、日本にいる日本人だからこそ語れるバングラデシュの犠牲祭を、宗教面と経済面両方から少しだけ書いてみたいと思います。

犠牲祭とは?

犠牲祭とはイスラム教の第2イード(年二回ある長期休暇のうちの1つ)の真ん中の日に行われます。旧暦を基準とするため、開催日は年によって変わります。牛や山羊を大量に街中で屠殺する宗教行事です。

実は、元々は旧約聖書にあるイサクの犠牲という物語から始まった行事です。

この物語を簡単にまとめると、イサクの親である預言者アブラハムがある日「神様が夢に出て来て、1番大事なものを差し出せっていうんだけど、殺していい?」とイサクに確認します。イサクが「いいよ」と言ったので、本気で殺そうとします。殺す直前で神がイサクを山羊にすり替えて、「お前の覚悟、信仰心、しかと確認した。」と言ったという物語です。神を畏れ、絶対服従するということがテーマだと言われています。

同じ教典で異なる慣習

え?旧約聖書?と思う人もいると思いますが、実はイスラム教は旧約聖書や新約聖書を認めていて、コーランにもこの物語が記載されています。最後の預言者はムハンマドですが、アブラハムやキリストも預言者と認識されているんです。つまりユダヤ教、キリスト教、イスラム教およびそれらの派生宗教は全て同じ神を信仰しているし、一部同じ物語を共有している、ということになります。

しかし、犠牲祭はイスラム教にしか存在しません。バングラデシュにいるキリスト教イタリア人の友達は「犠牲祭は見たくないから、外に出る。あたり前でしょ?」と言っていました。長期休暇が重なるため、海外で過ごす外国人が多いのはある意味理解できるが、このような宗教別の解釈の違いはすごく興味深いと思います。

犠牲祭の意義

現在、バングラデシュにおいては命の大切さを改めて認識するお祭として、また牛を買える財力を示す場としての意義があります。牛は一頭70,000円くらいから買えるらしいですが、一般家庭からすれば非常に高額です。しかし、バングラ人は見栄っ張りなため、月給2-3万のスタッフも借金してまで共同購入(7人までOK)しているようです。このように富裕層から低所得層までいろんな人が牛を購入し、少しの間息子のように「可愛がって」から同時に屠殺します。

内臓、骨までを全て綺麗に食べ尽くし、皮もカバンや靴等の皮革製品に加工されます。バングラデシュは縫製業が有名だが、皮革製品の輸出量もそこそこあります。これも正確な統計かは怪しいですが、バングラデシュの皮の年間生産量のうち7-8割がこの犠牲祭の時に生産されると言われています。実は日本向けにも大量の革靴が輸出されているんです。

私も含め、日本のサラリーマンは数千円〜10,000円程度の革靴で歩き回っています。血と汗とともに履き潰された靴が日本経済を支えていると言っていいと思います。その中にバングラデシュ産の靴があり、それが犠牲祭により産出された革で出来ているものが必ずあります。革靴を購入する際は、是非製造国を確認いただき、バングラデシュ産であればそのことを思い出していただけるとうれしいです。

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