外貨準備高について詳しく語りたい!

途上国に駐在では、スタッフが少ないことがほとんど。日本人は1人、という場合も少なくありません。

本社には赴任地のレポートを求められます。自分のビジネスのことはわかっても、その他の経済事情や制度情報はちょっと…という方も多いのでは?

今回は外貨準備高について解説します。

特に途上国の経済状況を理解する上で重要な指標ですので、是非ご覧いただければと思います。

外貨準備高とは?

外貨準備高とは、企業で言えば流動資産です。

企業にとって流動資産とは一体何なのか、と申し上げますと、「いざと言うときにいつでも現金化できるお金(現金を含む)」です。

皆さんは”Cash is King”と言う言葉をご存知でしょうか?

極端な話ですが、以下のような企業を考えたいと思います。


この企業は売掛金が沢山あって、利益も出ています。しかし、現金がないにも関わらず、買掛金の取り立て日が迫っています。もし資産を現金化したり、売上の入金が取り立て日までに入金されたりしない場合、この企業は不渡りが起きてしまい、倒産します。

外貨準備は企業で言う流動資産です。一国を企業と見た場合、海外との商売は貿易です。または外国からローンをしている場合もあります。輸入額の支払いやローンの支払いが迫っているにもかかわらず、外貨が用意できず、支払期限にそれを支払えない場合には、デフォルト(財政破綻)してしまいます。

外貨準備は輸入額◯ヶ月分などとして評価されることがありますが、例えば輸出がゼロになった場合に外貨準備でその国の輸入分を支払わなければならなくなるわけです。

そういった意味で、「何ヶ月耐えられるのか」というのが指標になると言うのは腑に落ちるのではないでしょうか?

外貨準備高を調べる方法

外貨準備高を調べていきましょう。

今回は世界銀行のデータベースを見ていきましょう。

World Bank Open Data

Free and open access to global development data…

Foreign currency reservesと検索画面に入力し、Total reserves (includes gold, current US$)を選択してエクセルデータをダウンロードします。

国別比較のため、2019年のデータを取っていますが、以下のように外貨準備が最も多いのは中国(約3.22兆ドル)で、次に日本(約1.32兆ドル)となっています。

上位を見ると、必ずしも先進国だけでなく、インドなど経済規模がそもそも大きい途上国が含まれていることがわかります。経済規模が大きいと輸入も大量にしていますし、その輸入額に見合った備えが必要になる、ということですね。

外貨準備高を増やすには?

では、外貨準備を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

これも企業ベースで考えると一つは単純に売上を増やし、掛け金を徴収することですよね。

国の場合は貿易の輸出額が売上に当たります。単純に輸出額が増えれば、その分外貨を獲得できますので、外貨準備を増やすことができるようになります。

次に、「現金そのものを調達する」ことです。

企業でいえば、銀行でローンを組んだり、投資家からの投資を受けることで現金を直接調達します。

これも国家が取りうる方法です。

ローンという観点では、途上国は外国や国際機関に借金をすることで外貨を稼いでいます。日本は逆にお金を貸す側(円借款)で、2020年度は1兆7,366億円を途上国に援助しています。

投資という意味では、途上国に対して日本企業がたくさん海外投資をして、工場を建設したり、雇用を生み出しています。この海外からの投資も、元手はその日本企業が保有している外貨であり、多くの場合はそれを途上国の通貨に変えて使用します。特に外貨管理の厳しい国は、各銀行(つまりは各企業の預金口座)にある外貨の流出に制限をかけており、実態的にその外貨は途上国が保有していることになっている場合があります

先進国の場合は、他国向けに外貨建の融資や投資をすることで、その利子や配当を受け、外貨を稼ぐという方法もあります。日本が持つは海外資産額が世界一というお話はしたところですが、まさにこれらの資産が外貨を稼ぐ手段になっています。

また日本円のように通貨が国際的に認められていて信用力のある場合には、日本円で外貨(例えば米ドル等)を購入するようなこともしています。

さて、今回が外貨準備について説明いたしました。

また次回もご覧いただけるとありがたいです。

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