日本人が駐在する途上国の多くは、勢いよく経済成長している国々がほとんどです。
そしてその多くは人口ボーナス期に突入しています。この人口ボーナスは経済成長する重要な要因の一つである、と考えられています。
「人口ボーナス」という言葉は聞いたことのある人も多いと思うのですが、実際それが何を意味しているのか、どうやったら確認できるのか、ということはあまり知らないのではないでしょうか?
今回はそんな「人口ボーナス」について徹底的に解説していきたいと思います。
人口ボーナスの3つの定義
実は人口ボーナスには、成長段階に合わせて3つの定義があります。
生産年齢人口を15~64歳、従属人口を0~14歳または65歳以上としたときに、
- 生産年齢人口が継続して増え、従属人口比率の低下が続く期間
- 従属人口比率が低下し、かつ生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間
- 生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間
はい、この時点で頭がパンパンな方も多いと思います。自分もそうでした。もっとわかりやすく言え!と思いませんか?
なので、わかりやすく図解したいと思います。
①生産年齢人口が継続して増え、従属人口比率の低下が続く期間
これは、人口ボーナス初期の段階です。
この時期は、子供や高齢者の数が減っていって、働く大人(15~64歳)が増えていきます。
ですので、働く大人が一人当たりで支える高齢者や赤ちゃんが減るので、自己投資や消費にお金が回りだし、急速に経済が成長するといわれています。
別の言い方をすれば、生産人口が増えるわけなので、その分一人当たりのGDPが上昇していくのはすっきり理解できると思います。さらに、この人口ボーナス期に人口が減っていく、ということはよほどのこと(医療解体や戦争など)がなければ起こらないので、一人当たりのGDPが増え、かつ人口も増えていけば当然GDPは加速度的に増加していくことになります。
②従属人口比率が低下し、かつ生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間

人口ボーナスの最盛期です。ここまでが人口ボーナスという人もいます。
①と同様に、生まれる子供の数が減っていって、働く大人が増えていきますが、①に比べてその比率がさらに高くなる(2倍以上)ので、さらに経済成長が加速していきます。
③生産年齢人口が従属人口の2倍以上いる期間

②から「従属人口比率が低下し」を除いた時期です。
つまり、この時期は従属人口の比率が増える、ということです。
かつ、人口ボーナス期に人口減少が起こることは原則ないので、働く大人が増えるよりも、赤ちゃんや高齢者が増える状況になるということですが、多くは医療の進歩や少子化によって、どんどん高齢者が増えていく状況になっています。
しかし、生産人口が従属人口の2倍を保っていれば、まだまだ人口ボーナスの恩恵があることから、この時期も人口ボーナス期の中に位置づけられます。
それが終わると人口オーナス期

人口ボーナスが終了です。
今までは赤ちゃんや高齢者を2名以上で支えていましたが、それが2名未満になってしまいます。
働く大人が負担する税金や社会保険料が増えていき、、、つまり今の日本のような状況です。
日本は人口ボーナスが2005年には終了しています。
この人口ボーナスが終了後の状況を「人口オーナス期」と言います。
※ オーナス(onus)とは「重荷、負荷」を表す言葉です。
次の「人口統計を調べよう!」で実例で、①~③がどれに当たるのかを見ていきましょう。
人口統計を調べよう!
さて、では実際に世界の人口ボーナスの状況を見ていきます。
人口統計を探すところから始めましょう。
人口といえば国際連合(UN)データです。World Population Prospects(世界人口予測)というページがありますので、そこから探していきたいと思います。
上のページに入って、以下のファイルをダウンロードすると、男女混合(Both Sexes)、男子(Male)、女子別(Female)の5年ごとの人口統計を見ることができます。

ダウンロードするとさらにシート別に分かれており、ESTIMATEのシートには1950年から2020年までの推計値が入っており、それ以外のシートには2100年までの予測値が入っています。
予測値は過去の人口増加の傾向をもとに、いろいろなパターンが用意されています。どれを使ってもよいとは思うのですが、中間値(MEDIUM VARIANT)が最もよく使われるのではないかと思います。
以下はバングラデシュの人口のデータを1950~2020年を推計値で、2025~2100年を推計値(中間値)で取り出したものです。

さて、まとめた表の各ポイントを見ていきましょう。
①のところですが1975年から1985年にかけて、従属人口の比率が下がり始めます。したがってバングラデシュの人口ボーナス期は1985年には始まっていたといえます。
次に②を見ると、2020年から生産人口が従属人口の2倍に達します。
③になると、従属人口の増加が増加に転じますが、まだ2倍をキープしています。
そして④ですが、2055年には生産人口の比率が2倍を切ります。これにより人口ボーナスが終了します。
つまり、バングラデシュの人口ボーナス期は1985年から2050年ごろであり、特に経済成長が加速するタイミングは2020年から2035年である。ということがわかります。まさに、ここからが楽しみな国ですね。
ちなみに2つの※印を見ると、バングラデシュ2005年からは子供の数が減り始めています。また2060年になると人口減少に転じると予想されます。
人口ボーナスを起こすには?
「人口ボーナス」を起こすにはどのような政策が必要なのでしょうか?
バングラデシュの人口ボーナスが起こる前(1950年)、人口ボーナス発生時(1985年)、人口ボーナス最盛期(2020年)を見ながら比較していきましょう。

まずは爆発的な人口増加です。1950年には600~700万人程度だった0~4歳の人口が、1985年には1500人にまで増えています。1985年のピラミッドを見ると、25~29歳からグラフの形がいびつになるほど人口が増えていることがわかります。
2020年からの人口ボーナス最盛期は「子供の出生数を減らす」ことから始まります。
例えば、中国で「一人っ子政策」という政策がとられました。
もちろん「一人っ子政策」は急激な人口増加に農業生産量がついていけない状況に対応するためでした。一方、経済成長という意味では、従属人口の増加を抑え、人口ボーナスをより進化させ急激な経済成長を起こすという意味でも、重要な政策であったと言えます。
バングラデシュの労働法では、3人目の出産から出産給付金を受けられなくなる規定があります。
経済成長をするとその国民の生き方も多様化するので、出生率が下がるといわれていますが、人口ボーナスを引き起こすために、出産により増える従属人口を抑えるための政策を計画的に国が主導しているようにも見えます。
途上国はこの人口ボーナス期に経済成長を続け、「中所得国の罠」に陥ることなく、先進国の仲間入りをする必要があります。
中所得国の罠については、以下のURLを見てください。
今回は以上になります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
各国の人口ボーナスタイミングの比較表なども今後作っていきたいと思います。