【実践編その2!】GDPを比較しよう!

途上国に駐在では、スタッフが少ないことがほとんど。日本人は1人、という場合も少なくありません。

本社には赴任地のレポートを求められます。自分のビジネスのことはわかっても、その他の経済事情や制度情報はちょっと…という方も多いのでは?

今回は、前回ダウンロードしたデータを使って、国別比較をしていきたいと思います。

統計データのダウンロード方法は以下の記事をご確認ください。

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データを加工しよう!

さて、データをとったら、表を加工しましょう。

私はSUMIFS関数を使ってやってみましたが、お好みの関数で集計してください。

 日本中国アメリカフランスシンガポールタイベトナムインドバングラデシュ
家計消費支出55.19%38.95%67.86%53.73%36.00%49.43%68.16%60.54%68.71%
政府支出20.00%16.71%13.97%23.10%10.25%16.60%6.46%10.96%6.27%
投資24.55%43.26%21.01%24.16%24.86%23.78%26.84%30.51%31.57%
輸出17.49%18.76%11.73%31.77%173.52%61.54%106.80%17.89%15.32%
輸入-17.24%-17.26%-14.58%-32.75%-145.63%-50.97%-103.60%-20.41%-21.44%
GDP(10億ドル)5,08214,34321,4332,7163725422622,892301

こんな感じに作ってみました。

一番上に国名、横にカテゴリをそれぞれ入れています。(若干ずれている国もありますが、、、)一番下の列は100%がはいることになっているので、10億ドル単位で金額を入れています。

政府支出って何、、、?
GDPはGDP=消費+投資+輸出-輸入と言っていたじゃないか!?

という方、説明不足で申し訳ありません。この「消費」はいわゆる民間の家計支出政府の支出を分けて計上されます。時々政府支出と家計支出がUNのデータ上わからない国もありますが、今回はそのような国を選ばなかったので、すべてに数値があります。

民間の支出が多いか、政府の支出が多いかというのは国の特徴が表れるものの一つなので、今回は分けて記載しています。

また、投資は狭義の投資と在庫に分けて計上していない国もあるので、ひとまとめにしました。

データを見て各国の特徴を考えよう!

例えば、上の表からどのようなことがわかるか、ということですが、、、

日本を見てみると他国と比較して、家計消費支出の割合が少なく、政府支出の割合が高いです。この傾向はヨーロッパ地域(特に北欧地域)よく見られます。フランスも政府支出の金額が大きいです。

日本は長年貿易黒字を続けましたが、2011年~2015年の貿易収支は赤字に転落しました。金額的には非常に大きく思えますが、現在の貿易収支はほぼトントンです。アメリカの貿易赤字解消の原因として今や中国の陰に隠れていますが、日本も睨まれているに違いありません。「貿易赤字=悪」とするのであれば、少し歯車が狂うだけで貿易赤字に傾きかねない状況だ、ということは認識しておいた方がよさそうです。

次に中国に注目してみましょう。

消費大国!というイメージが強いですが、消費の比率は他国と比較すると低めです。では何に集中しているかというと、「投資」です。中国は官民問わず開発事業をどんどん行っています。これが高い経済成長の一因であることに間違いありません。最近成長率に陰りは見え始めたとはいえ、この投資比率の高さには目を見張るものがあります。

アメリカの貿易赤字に対する生みの親、という感じの中国ですが、GDP比での貿易収支はほぼトントンです。こう見ると責められる中国も少し可哀そうな気がしなくもない、という気にはなりませんか?そういった方には「付加価値貿易」という考え方に触れてみてください。今後の貿易理論において一つの重要な考え方になっています(今後の記事で書いていきたいと思います)。

さて、シンガポールタイを見ていきましょう。

シンガポールは富裕層が集まる金融都市!のようなイメージが強いですが、他国の統計と比較して純輸出(輸出-輸入のこと)の比率が高く、特にIT系製品の輸出がGDPを伸ばしている大きな要因です。

タイも純輸出の比率は高いです。日本よりも後発の新興国ですが、家計消費支出が意外と少ないのがわかるかと思います。

最後にベトナムを見ていきましょう。

ベトナムは家計消費支出の割合がとても高いです。消費が比率が高いというのは経済基盤として非常に良いことです。というのも外的要因は受けにくく、国内の景気にも左右されるとはいえ、ベース金額は確保されるからです。よほどの内乱や戦争が起き、多くの人が亡くなったような場合しか、大幅な減少は見られません。新型コロナウィルス感染症の影響を受け、世界経済は大混乱に陥っていましたが、ベトナムはいち早く景気が回復しました。もちろん国策としてロックダウンや出入国管理を効果的(強制的)に行ったことが大きかったとも言えますが、もともとの経済構成が消費という基盤に支えられていた、という点も重要です。(逆に、純輸出に頼った国々がどのような状況になるか、2020年の統計が出てきたら是非見てみたいですね)

共産主義・社会主義国家でありながら、政府支出の比率は非常に低いです。主義を捨てて、国力増強のために、民間の消費を喚起したり、輸出政策を強くしたりした結果と見えます。またシンガポールも同様ですが、対GDP比で100%を超える輸出および輸入となっています。あの韓国企業、サムスン電子が大規模な投資をしており、スマートフォンの輸出が大きく伸びているようです。

途上国の特徴を見てみよう!

さて、目次を変えて今度は途上国を見ていきましょう。

インドとバングラデシュの統計をみると、消費の比率(民間か政府か)が少し異なっているものの、大きくは似たような数字になっていると思います。途上国の統計(特に後発開発途上国と呼ばれる国)は似たような経済構造になっています。

※インドは後発開発途上国ではないのでご注意を!

基本的に民間消費が非常に高く、貿易収支は赤字です。貿易収支が黒字のところもありますが、それは産出される資源に頼っています。例えばアンゴラはダイヤモンド、ザンビアは銅やコバルトといった感じです。

貿易収支がさらにひどいところは、民間消費支出の割合が100%を超えるようなところもあります。

基本的には加工貿易から工業活動を始めます。多くの場合は縫製業です。最初は原料を輸入して付加価値の低いTシャツなどを製造します。そのため輸出額と輸入額はそれだけでトントンです。

にもかかわらず、国にないものを海外から購入します。Tシャツを輸出して機械などを買うわけですから、どれだけ量を作っても貿易赤字にはなります。

コツコツと技術力を高め、少しずつ付加価値の高いアイテム(例えばスーツやダウンジャケット等)が作れるようになっていき、自転車等の少し付加価値の低めな機械系の産業に移り変わっていって、貿易赤字の解消が少しずつ見えてくるようになります。

もちろん先進国でも慢性的に貿易赤字な国はあるので、貿易赤字単体が悪いわけではないのですが、多くの途上国は経済政策として輸出額の増大と貿易黒字を目指しています。これについても別に説明したいと思います。

さて、今回はGDPの構成や特徴から国別比較をしていきました。

次回は、途上国が経済成長する条件やその限界について解説したいと思います。

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